ワイドハイターの成分と漂白の仕組み〜液体と粉末の液性の違いも解説
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ワイドハイターは過酸化水素の作用で漂白を行う酸素系漂白剤です。
ただし、液体タイプ(酸性)は過酸化水素がそのまま溶けている一方、粉末タイプ(弱アルカリ性)は過炭酸ナトリウムとして配合されています。
その他にも、ワイドハイターには機能を支える複数の成分が含まれています。とくに、漂白作用を高める漂白活性化剤は、常温の水での洗濯が主流の日本では重要な成分です。
この記事では、ワイドハイターの成分や漂白の仕組み、液体と粉末の液性(酸性/弱アルカリ性)の違いを解説します。
- pH
- 水溶液が酸性かアルカリ性かを示す指標。7付近が中性で、数値が小さいほど酸性、大きいほどアルカリ性が強い。
ワイドハイターの主な成分と液性

花王のワイドハイターシリーズは、衣類用の酸素系漂白剤です。液体タイプと粉末タイプがあり、成分と液性に大きな違いがあります。
ワイドハイターの主な成分
| 成分 | 役割 | 液体タイプ | 粉末タイプ |
|---|---|---|---|
| 過酸化水素 | 漂白成分 | ○ | - |
| 過炭酸 | 漂白成分 | - | ○ |
| 漂白活性化剤 | 漂白作用を高める | ○ | ○ |
| 炭酸 | アルカリ剤 | - | ○ |
| 界面活性剤 | 漂白液の浸透を助ける | ○ | ○ |
| 抗菌剤 | 雑菌やカビを防ぐ | ○ | - |
| 酵素 | タンパク質を分解する | - | ○ |
- ○
- 配合あり
- -
- 配合なし
ワイドハイターは、漂白成分として過酸化水素か過炭酸ナトリウムを配合し、さらに複数の成分により機能を高めた漂白剤だといえます。
花王の公式通販サイトでは、製品ラベルよりも詳しい成分情報が公開されています。
ここでは例として、液体タイプから「ワイドハイター EXパワー」と「ワイドハイター PRO 泡スプレー」、粉末タイプから「ワイドハイター PRO 粉末」の成分情報を示します。
| 成分名称 | 機能名称 |
|---|---|
| 水 | 工程剤 |
| ポリオキシエチレンアルキルエーテル | 界面活性剤 |
| 過酸化水素(酸素系) | 漂白剤 |
| アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム | 漂白活性化剤 |
| アルキルアンモニウム塩 | 抗菌剤 |
| エチドロン酸塩 | 金属封鎖剤 |
| エチドロン酸 | 金属封鎖剤 |
| 香料 | 香料 |
| 成分名称 | 機能名称 |
|---|---|
| 水 | 工程剤 |
| ポリオキシエチレンアルキルエーテル | 界面活性剤 |
| アルキルグリコシド | 界面活性剤 |
| 過酸化水素(酸素系) | 漂白剤 |
| ポリオキシエチレンフェニルエーテル | 泡調整剤 |
| アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム | 漂白活性化剤 |
| アルキルアンモニウム塩 | 界面活性剤 |
| エチドロン酸 | 金属封鎖剤 |
| エチドロン酸塩 | 金属封鎖剤 |
| 香料 | 香料 |
| 成分名称 | 機能名称 |
|---|---|
| 炭酸塩 | アルカリ剤 |
| 過炭酸ナトリウム(酸素系) | 漂白剤 |
| アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム | 漂白活性化剤 |
| 硫酸塩 | 安定化剤 |
| ポリオキシエチレンアルキルエーテル | 界面活性剤 |
| 香料 | 香料 |
| 酵素 | 酵素 |
| 着色剤 | 着色剤 |
ワイドハイター各製品の成分情報は、花王公式通販サイトの以下のページから確認できます。
液体タイプは酸性、粉末タイプは弱アルカリ性
| タイプ | 液性 | 製品 |
|---|---|---|
| 液体 | 酸性 |
|
| 粉末 | 弱アルカリ性 | ワイドハイター PRO 粉末 |
ワイドハイターはタイプにより液性が異なり、液体タイプは酸性、粉末タイプは弱アルカリ性です。
| 製品 | 画像 |
|---|---|
| EXパワー | ![]() |
| PRO 粉末 | ![]() |
液体タイプでは過酸化水素を安定に保つため原液が酸性に調整されている一方、粉末タイプでは過炭酸ナトリウムや炭酸ナトリウムが水に溶けて弱アルカリ性になります。
この液性の違いは、液体タイプと粉末タイプの使える素材や漂白作用の強さにも関わるため、ワイドハイターの違いを理解するうえで重要なポイントです。
ワイドハイターのような衣料用漂白剤は、家庭用品品質表示法の対象となる雑貨工業品のうち「衣料用、台所用又は住宅用の漂白剤」に該当し、液性を示す用語を表示することが定められています。
| 液性 | pH |
|---|---|
| アルカリ性 | 11.0を超えるもの |
| 弱アルカリ性 | 11.0以下8.0を超えるもの |
| 中性 | 8.0以下6.0以上のもの |
| 弱酸性 | 6.0未満3.0以上のもの |
| 酸性 | 3.0未満のもの |
また、家庭用品品質表示法に基づく雑貨工業品品質表示規程では、pHの測定方法が以下のように定められています。
水素イオン濃度(pH)の測定は、液状のものについては原液について、液状のもの以外のものについては使用適量の最高濃度溶液について日本産業規格Z八八〇二(pH測定方法)に定める方法により行うものとすること。この場合の測定温度は二十五度とすること。
この基準に当てはめると、ワイドハイターの液性表示は、以下のpH範囲を意味します。
- 液体タイプ(酸性)
- 25 °Cで測定した原液のpHが3.0未満である。
- 粉末タイプ(弱アルカリ性)
- 25 °Cで測定した使用適量の最高濃度溶液のpHが8.0を超え11.0以下である。
ワイドハイターの漂白の仕組みは過酸化水素による酸化分解
成分のうち、ワイドハイターを「酸素系漂白剤」たらしめている漂白成分が、過酸化水素、およびその関連物質である過炭酸ナトリウムです。
液体タイプには過酸化水素がそのまま溶けていますが、粉末タイプには固体の過炭酸ナトリウムとして配合されています。過炭酸ナトリウムが水に溶けると、過酸化水素と炭酸ナトリウムに解離します。
この過酸化水素が汚れや色素を酸化することで、ワイドハイターは漂白剤として機能します。
過酸化水素(液体タイプの漂白成分)
EXパワーなどの液体タイプのワイドハイターには、過酸化水素が配合されています。
過酸化水素を使った液体タイプの酸素系漂白剤には、以下のような特徴があります。
- 色柄ものの衣類にも使える。
- 毛・絹などのおしゃれ着にも使える。
- 原液を塗布して使用できる。

過炭酸ナトリウム(粉末タイプの漂白成分)
粉末タイプのワイドハイター PRO 粉末には、過炭酸ナトリウムが配合されています。
粉末タイプの酸素系漂白剤には、不安定かつ液体である過酸化水素をそのまま配合することはできません。
そこで、過炭酸ナトリウムなどの、水に溶けると過酸化水素を生じる固体が用いられます。
過炭酸ナトリウムを使った粉末タイプの酸素系漂白剤は、液体タイプと比べて、炭酸ナトリウムの影響で性質に違いが生じます。

漂白作用を高める成分
酸素系の穏やかな漂白成分である「過酸化水素」は、常温かつ強いアルカリ性でもない条件では、十分な漂白作用を発揮しにくいのが欠点です。
そこで、ワイドハイターには漂白作用を高めるための成分が配合されています。
これらは、常温の水での洗濯が主流の日本では、とくに重要な成分といえます。
漂白活性化剤(漂白作用を強化する)
ワイドハイターには、液体タイプと粉末タイプのどちらにも、「アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム」という漂白活性化剤が配合されています。
漂白活性化剤は、ワイドハイターの使用時に過酸化水素と反応して、有機過酸(有機酸の過酸化物)を生成します。

こうして漂白活性化剤から生じる過酸は、過酸化水素に比べて、以下のような特徴を持ちます。
日本ではさまざまな酸素系漂白剤が販売されていますが、漂白活性化剤の配合が明記されている製品はあまり多くありません。漂白活性化剤はワイドハイターシリーズを特徴付ける成分のひとつだといえます。
なお、汚れに吸着しやすい性質から、花王は漂白活性化剤を「汚れセンサー」とも表現しています。
炭酸ナトリウム(粉末のみ|アルカリ性を高める)
粉末タイプのワイドハイターには、「炭酸塩」として記載されている、炭酸ナトリウムが配合されています。
- 炭酸ナトリウムとは?
- 化学式はNa2CO3。
- 炭酸(H2CO3)のナトリウム塩で、白色の固体である。
- 水に溶けるとやや強いアルカリ性を示すことから、アルカリ剤として用いられる。
- 粉末の酸素系漂白剤や粉末の洗濯洗剤によく配合されている。
- 水溶液のアルカリ性を高めることで、過酸化水素の漂白作用を高める。
- 過炭酸ナトリウムが水に溶けても炭酸ナトリウムが生じるため、粉末タイプの液性や漂白作用を考えるうえで重要な成分である。
粉末タイプの酸素系漂白剤は、そもそも漂白成分の過炭酸ナトリウムが水に溶けて炭酸ナトリウムを生じ、水溶液が弱アルカリ性になるため、液体タイプよりも漂白作用が高くなります。
炭酸ナトリウムは、さらにアルカリ性を高めるために配合される成分です。
ワイドハイター PRO 粉末に限らず、オキシクリーンなど、粉末タイプの酸素系漂白剤には炭酸ナトリウムがよく配合されています。
そのほかの機能を支える成分
この章では、ワイドハイターに配合されている以下の成分を紹介します。
- 界面活性剤
- 漂白液の浸透を助ける。液体タイプを原液で塗る際は油性汚れを落とす。
- 抗菌剤(液体タイプのみ)
- 洗濯後の衣類や洗濯槽にて作用し、雑菌の増殖を抑える。
- 酵素(粉末タイプのみ)
- タンパク質汚れの分解を助ける。
界面活性剤(漂白液の浸透を助ける)
ワイドハイターには、液体タイプと粉末タイプのどちらにも、界面活性剤が配合されています。
界面活性剤は、衣類への漂白液の浸透を助けるため、漂白ムラを防ぐうえでも重要な成分です。
また、液体タイプの直接塗布や泡スプレーでは、以下のような働きも担っています。
- 液体タイプの直接塗布
- 原液中の界面活性剤により、油性汚れを水になじませて落としやすくする。
- ワイドハイター PRO 泡スプレー
- 泡の形成や保持に関わり、漂白液を衣類にとどまりやすくする。
ワイドハイターの各製品には、主に「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」という界面活性剤が配合されています。これは、酸素系漂白剤に配合する界面活性剤としてごく一般的なものです。
なお、「ワイドハイター PRO 泡スプレー」には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに加えて、泡立ちに優れる「アルキルグリコシド」という界面活性剤も配合されています。

抗菌剤(液体のみ|洗濯後のにおい・カビを防ぐ)
ワイドハイターの「EXパワー」や「PRO リキッド」シリーズでは、洗濯後の衣類の抗菌や、洗濯槽の防カビに関わる抗菌剤が配合されています。
- 抗菌剤とは?
- 細菌やカビなどの微生物が増えるのを抑えるための成分。
- 衣類や洗濯槽での雑菌の増殖を抑え、洗濯後のにおいやカビを防ぐ目的で配合される。
- 抗菌剤として用いられる成分のひとつに、アルキルアンモニウム塩がある。
- ワイドハイターの液体タイプの各製品には、アルキルアンモニウム塩が配合されている。
「アルキルアンモニウム塩」は、界面活性剤の一種ですが、よく抗菌剤として用いられる成分です。
ワイドハイターの「EXパワー」と「PRO リキッド」シリーズでは、アルキルアンモニウム塩を含む処方で、洗濯後の衣類の抗菌や、洗濯槽の防カビ効果が訴求されています。
とくに、「ワイドハイター PRO リキッド 抗菌」は、EXパワーと比べて抗菌成分を4倍配合し、抗菌機能を高めた製品です。
なお、通常の「ワイドハイター」や「ワイドハイター PRO 泡スプレー」にも、アルキルアンモニウム塩は配合されていますが、機能名称は「界面活性剤」として記載されています。
酵素(粉末のみ|タンパク質汚れを分解する)
「ワイドハイター PRO 粉末」には、酵素が配合されています。
- 酵素とは?
- 生物がつくる触媒で、多くはタンパク質からなる。
- 特定の物質に作用し、特定の化学反応を進みやすくする。
- 洗剤や漂白剤では、主に汚れの成分を分解して落としやすくする目的で用いられる。
- とくにタンパク質分解酵素は、血液・食べこぼし・垢などに含まれるタンパク質汚れの分解に関わる。
「ワイドハイター PRO 粉末」の成分情報では、配合されている酵素の種類までは明記されていません。
ただし、花王は粉末タイプの酸素系漂白剤について、以下のように言及しています。
酸素系漂白剤の中でも粉末タイプは、洗たく液を、汚れを落としやすい「弱アルカリ性」にできることや、タンパク質を分解する「酵素」を配合できることが特徴です。これらの総合力により高い漂白効果を発揮し、さらには菌やウイルスをとり除きやすくなるのです。
以上の情報から、「ワイドハイター PRO 粉末」にも、タンパク質分解酵素が配合されている可能性があります。
液体のワイドハイターはなぜ酸性? 液性に関する疑問に回答
液体タイプのワイドハイターは、原液が酸性(pHが3.0未満)です。
酸性などの液性表示とpH範囲の詳細は記事序盤の補足を参照。
この章では、液体タイプのワイドハイターの液性について解説します。
アルカリ性では分解するので原液は酸性
過酸化水素水は、液性に応じて以下のような性質を示します。
| 液性 | 漂白作用 | 過酸化水素の安定性 |
|---|---|---|
| アルカリ性 | 強い |
|
| 酸性 | 弱い | 安定で分解しにくい |
- 中性付近では中間的な性質を示す。
液体タイプのワイドハイターの原液が酸性なのは、漂白や洗浄のためではなく、漂白成分である過酸化水素を安定に保つためです。
もし、原液をアルカリ性寄りにしてしまうと、保管中に過酸化水素が分解しやすくなるほか、気体の酸素が発生するため密閉容器での流通も難しくなります。
なお、過酸化水素水そのものは弱い酸性ですが、液体タイプのワイドハイターはpHが3.0未満と強めの酸性です。成分の配合により、原液が酸性に調整されているものと考えられます。
漂白作用はアルカリ性寄りで高まる
液体タイプのワイドハイターは原液が酸性ですが、漂白作用は液性が中性〜アルカリ性寄りになるほど高まります。実際の洗濯では、以下のような要因で漂白作用が引き出されます。
- 水での希釈
- つけおきや洗濯では水で希釈されるため、酸性が弱まり中性に近づく。
- 弱アルカリ性洗剤との併用
- 弱アルカリ性の洗濯洗剤と一緒に使うと、洗濯液が中性〜アルカリ性寄りになり、漂白作用がさらに高まる。
ただし、おしゃれ着(毛・絹)や「中性洗剤で洗う」と注意書きのある衣類には、弱アルカリ性洗剤は使えません。これらの衣類の洗濯や漂白では、液体タイプのワイドハイターと中性の洗濯洗剤を使ってください。
まとめ
ワイドハイターは、過酸化水素の酸化作用で汚れや色素を分解する酸素系漂白剤です。成分や液性はタイプによって異なり、要点は次のように整理できます。
- 漂白成分
- 液体タイプは過酸化水素、粉末タイプは過炭酸ナトリウム(水に溶けて過酸化水素を生じる)。
- 液性
- 液体タイプは酸性、粉末タイプは弱アルカリ性。
- 漂白作用の強さ
- 粉末タイプのほうが強い。液体タイプは色柄ものや毛・絹のおしゃれ着にも使える。
- 漂白作用を高める成分
- 漂白活性化剤(両タイプ)が過酸化水素から過酸を生成し、炭酸ナトリウム(粉末のみ)が水溶液のアルカリ性を高める。
- そのほかの成分
- 界面活性剤(両タイプ)、抗菌剤(液体のみ)、酵素(粉末のみ)。
なお、液体タイプの原液が酸性なのは、過酸化水素を安定に保つためです。漂白作用そのものは、希釈や弱アルカリ性洗剤との併用により液性が中性〜アルカリ性寄りになるほど高まります。
よくある質問
よくある疑問や質問に回答します。
粉末タイプと液体タイプのワイドハイターを、洗濯やつけおきの際に一緒に使うこと自体に危険はありません。どちらも酸素系漂白剤で、混ざると酸素は生じますが、有毒なガスは発生しないためです。
ただし、あえて併用しても得られる利点は乏しく、強い漂白作用を求めるなら粉末タイプだけを使うのが適しています。
一方で、粉末と液体をあらかじめ混ぜ合わせるのは避けてください。混合して放置すると、漂白成分である過酸化水素の分解が進み、本来の漂白効果が得られにくくなるためです。花王も、異なるタイプの漂白剤が混ざった液は使わず廃棄するよう案内しています。
また、酸素が発生するため、混ぜ合わせた液を密閉容器に入れると内圧が上がって破裂する恐れがあります。
蛍光増白剤は、ワイドハイターには配合されておらず、成分情報にも記載はありません。
蛍光増白剤は、漂白成分とは白く見せる仕組みが異なる別の成分です。ワイドハイターの漂白成分である過酸化水素は、汚れや色素を酸化して分解します。一方、蛍光増白剤は、目に見えない紫外線を吸収して青白い光を放つことで、繊維を白く見せる染料の一種です。
そのため、ワイドハイターには蛍光増白剤による「白く見せる」効果はなく、生成りや淡い色の衣類が白っぽく変色する心配もありません。




